クラフトビールツーリズム アリゾナ Historic Brewing (ヒストリックブルーイング)

ラスベガスやフェニックスなど、アメリカの主要な街からグランドキャニオンへと向かう際、その入り口になっている街がアリゾナ州ウィリアムズ。「入り口」とはいえ、ここからグランドキャニオンへ車でも1時間ほどかかるため決して近いわけではないのですが、この街を越えると集落がなくなること、グランドキャニオン鉄道の始発駅であることからグランドキャニオンの中に宿を取らない旅行者はここウィリアムズを拠点とする人も多いと思います。そんなグランドキャニオンの麓とも言える街、ウィリアムズにもいくつかのブルワリーがあります。

 Historic Brewing Companyはウィリアムズより東にRoute66を車で40分ほど、アリゾナ州フラッグスタッフにブルワリーを構えるクラフトビールのブルワリー。近郊に2箇所ビアレストランを経営しており、その1つがウィリアムズの Historic Brewing "Barrel + Bottle House - Williams"。ここを訪れたのは2016年10月。ここウィリアムズには前日入りして早朝よりグランドキャニオンへのハイキングに向かい、そのまま日帰りで宿をとっていたウィリアムズへ戻ってきた後でした。

Historic Brewing "Barrel + Bottle House - Williams"
住所:141 W Railroad Ave, Williams, AZ

モーテルより徒歩圏内にあったこのブルワリーは、街のメインストリートRoute66沿いにあり、グランドキャニオン鉄道のウィリアムズ駅の目の前というロケーション。歴史を感じる平屋型の白い建物には、Williams駅側から見えるところに、大きくHictoric Brewing Co. と銘打った茶色い看板が掲げられ、Route66という歴史ある通りにマッチした佇まいです。

屋外にも飲食エリアが設けられ、もちろん店舗の一部なのでウィリアムズ駅や高い建物が一切ないことで眺めることのできる周囲の広大な自然をツマミにクラフトビールを楽しむこともできます(アメリカでは通常、屋外での飲酒が法律で禁止されています。レストランやカフェの一部として屋外にテーブルがあるところを出ると法律違反になります)

中に入っての第一印象は、木製テーブルに対し椅子がスチール製だったことへの「おぉ」という感覚でした。内装が綺麗なので安っぽくはないのですが、重厚感は感じず、やはりカジュアルなレストランといった印象でした。それもそのはず、このブルワリー直営のレストランで取り扱うのは主にアメリカン料理で、バーガーやピザがメイン。クラフトビールがゴクゴク進む相性の良いメニューです。

なかなか来る機会のなさそうなここウィリアムズのHistoric Brewing立ち寄り記念にグラスを購入。この日、特に飲んだわけではないのですが、ここの代表銘柄とされているPIEHOLE PORTERをあしらったタンブラー。持ち帰りに失敗しヒビが入ってしまっているため、今はこれでクラフトビールを飲む事はできないのですが、眺めていると、Route66、グランドキャニオン、バーガーそしてクラフトビールと”アメリカ”がたくさん詰まった思い出を呼び戻してくれます。

Historic Brewing(ヒストリックブルーイング) ウィリアムズを起点としたクラフトビールツーリズム - 周辺観光
ウィリアムズはグランドキャニオンの入り口の街。ここの観光の中心はグラウンドキャニオンになります。日帰りで行くのはラスベガスからは車で5時間ほどかかり(ヘリで行くツアーもあり)、グランドキャニオンを楽しめる十分な時間が取れないため、ここウィリアムズに宿泊する人も多いでしょう。グランドキャニオン内の宿泊施設(ロッジ)もありますが、宿泊費が総じて高めです。そのためウィリアムズにもその街の規模に対して多くのモーテルがあるのも特徴です。

グランドキャニオンへは、アメリカ映画で見るような広大な草原の中をひたすら走り続けること1時間。そこにグランドキャニオンの玄関口となるグランドキャニオンビレッジがあり、ここからがグランドキャニオンのサウスリムと呼ばれるエリアになります。グランドキャニオンビレッジには整備された駐車場、レストラン、ロッジ、グランドキャニオン鉄道の終着駅などがあります。ビレッジといっても広いため、移動は車がメインになります。グランドキャニオンの概要はHISのこちらのサイトが詳しいですので、ご覧ください。

さて、ウィリアムズ。現在はHistoric Route 66と呼ばれる、シカゴとサンタモニカを結ぶ幹線道路の沿線の街として、道路沿いの標識はもちろん、ショーウィンドウの中や店舗の看板など今も街のいたるところにRoute66の看板を見ることができます。Route66自体は、アメリカの発展で整備された高速道路や飛行機に取って代わられ、現在、Hictoricとついているだけあって古き良きアメリカの歴史を残す意味合いで観光資産の一部となっており、幹線道路としての機能はほぼしていません。それだけにウィリアムズはRoute66沿線の街として、この歴史とアメリカンドリームの詰まった当時の思いを残すための観光業に力を入れているように見えます。

その表れの一つが街全体として古きアメリカの景観を残そうとしているところ。写真にあるように、視線を遮る高い建物は存在しておらず、まるで映画のセットのようなあえて1950~60年代を意識した町並みを維持しています。いわゆるシェラトンやヒルトン、ハイアットやマリオットのような世界チェーンのホテルもありません(系列のモーテルはあります)。

ここウィリアムズにもRoute66 Museumを謳う博物館というよギフトショップが存在していますが、ここからRoute66の終着点のサンタモニカまでも同じような博物館を数軒、目にしました。どこもRoute66の看板をモチーフにしたグッズを扱っているのですが、それぞれの地名を載せているところから、コレクターには嬉しいお土産になるかもしれません。

ハイウェイを使えばこのウィリアムズからサンタモニカは6時間ちょっとに対し、Route66を使うと10時間以上。あえて急がない旅にはこのRoute66を使うたびが良いかもしれません。