クラフトビールツーリズム 福岡県杉能舎(SUGINOYA)

日本酒などのお酒の製造を行う蔵元がその醸造技術を活かしてクラフトビールを作る、というブルワリーの形態は世界で見ても珍しいのかもしれませんが、日本国内では何件も存在しています。明治3年に創業した浜地酒造は日本酒の蔵元でしたが、1994年の酒税法の改正で小規模でもビールが作れるようになったことから地ビール作りに着手。定番品に加え、地元産の食材を使ったクラフトビールやアビスパ福岡のオフィシャルパートナーになったことをきっかけにしたオリジナルのクラフトビールを開発、販売しています。今回はこの浜地酒造の杉能舎に行ってきました。

杉能舎(SUGINOYA)
住所:福岡県福岡市西区元岡1442

福岡市の商業中心エリアである天神からは電車とバスを乗り継いでおよそ1時間と少し離れた場所にありますが、クラフトビールを飲む前提に立つと公共の交通機関を使う必要性が出てきます。まずは空港線で九大学研都市駅(JR筑肥線が乗り入れているため、九大学研都市駅はJR筑肥線の駅)まで天神駅からは22分、その後は駅前から昭和バスに乗りますが、行き方は数種類あるようです。この日は九大総合グラウンド行きに乗り4つ目のバス停である「西消防署元岡出張所前」で下車、ここから徒歩で12分。少々歩きますが、道そのものはわかりやすいためgoogle mapを時折確認しながら進めば、途中で看板が出ていたこともあり、迷うことなくつくことができました。

「さすが明治時代にできた酒蔵」といった外観で歴史を感じることができ、季節がらもあって(訪れたのは6月下旬)緑豊かな環境に佇む日本家屋の雰囲気はとても重厚なものでした。こちらは今は売店になっていてクラフトビールはもちろん、日本酒やリキュールなどを買ったり、試飲したりすることができるようになっていました。また会員限定で購入が可能なのができたてのクラフトビールを720MLの瓶に入れた直詰シリーズで、年会費等無料でその場で会員になれるため住所など記載した申し込み用紙とともに購入をしました。720MLは日本酒の4合瓶サイズ。この辺りは酒蔵っぽさを感じることができます。

この母屋を正面に見た右手は、蔵だったと思われる場所で、今は休憩スペースと資料館として解放されており、このブルワリーもとい酒蔵で購入したものを食べたり飲んだりすることができるように整備されていました。茶色基調の荘厳な雰囲気の中に赤いテーブルとわずかに差し込む光がとても幻想的でした。

クラフトビールはこの母屋の手前、細い道路を挟んだ右手に同じく酵母を使うパン工房と並んで立つ建物で作られていいます。醸造設備を見ながらビールを飲むことができるカウンターがあり、この日は地元福岡県の糸島産大麦麦芽を使用した季節限定の白ビールをいただきました。

杉能舎(浜地酒造) 福岡市・糸島市を起点としたクラフトビール ツーリズム

杉能舎が位置するのは福岡県福岡市のほぼ西の端で、隣接する糸島市までは歩いて10分ほどという場所。上述の通り、福岡の中心地からは公共の交通機関を利用し1時間ほどかかるので、博多や天神に宿泊しクラフトビール目的で電車バスを乗り継ぐとなると、少々来にくい場所と言えます。ただ杉能舎から徒歩15分のところにはグローカルホテル糸島というホテルがあり宿泊者には駐車場が無料になりますので、レンタカーを借りてここを拠点とし、糸島周辺を周辺観光をすることができます。

糸島市の市としての歴史は意外と浅く、2010年に旧前原市・旧志摩町・旧二丈町が合併して誕生しました*。イギリスの情報誌「MONOCLE」が発表した「Bright lights, small city」ランキングでは、ポルトガルのポルト、ベルギーのルーヴェンに次ぎ、3位に入賞**。自然と都市部へのアクセスの良さというロケーションや糸島ブランドの豚肉・牛肉・鶏肉やオーガニック野菜の生産など農業への評価が高かったよう。玄界灘へもすぐに出られ、美味しく安くシーフードを食べられるというのも糸島の魅力だそう。***MONOCLEでは「サイクリングが楽しめる」といったことにも言及されていますが、観光協会で自転車を借りることもでき、また観光地にも自転車専用の駐輪場があるようなので、天気が良いにには車から自転車に乗り換えて、サイクリングを楽しむのも良いかもしれません。

楽天では福岡県福岡市のふるさと納税で杉能舎のクラフトビールを返礼品に選ぶことが可能です。

*引用元 糸島観光サイト「つなぐいとしま
**引用元 グローカルホテル糸島
*** MONOCLE「Bright lights, small city